海外で仕事を始める転機になったのが、6年前に訪れた欧州での同業者らとの出会いだ。SNSを通じて知り合った女性たちと実際に会って話す機会があり、大きな刺激を受けたという。

「特定の店に所属し、その店につけてもらった客の数をこなしていくスタイルが一般的な日本の風俗ビジネスと比べ、私が出会った海外の同業者は、“自分のビジネスを自分でやるのが当たり前”というスタイルで、プロ意識が大きく違った。金額も内容も自分で決めるし、顧客を増やすための自分のブランディングやマーケティングについても惜しまず努力する。全ての責任を負う代わりに、全部自分で決められる。そんな働き方をしている彼女たちは、日本の風俗嬢とは桁違いに稼いでいました」(マリエさん)

■ツアー一回で5万ドルが目標

 また風俗=性交ではなく、「客と一緒に過ごす時間そのものが報酬の対象になる」という考え方など、さまざまな世界が広がる海外の性風俗のスタイルを目の当たりにした。「自分の中で、エロティックという概念が大きく広がった感覚があった」ともいう。

 以前から海外に対する憧れが強かったこともあり、自分が海外に行って現地で仕事をすることへの抵抗感はほとんどなかった。海外での仕事は、国ごとにいくつかの都市を訪れるツアーを組むのが主だという。事前にSNSで、訪問予定の都市と日程の目安について告知し、客からの問い合わせに個別に対応する。料金は米ドルで1時間600ドル(現在の日本円で約8万円)~に設定しているが、あくまで目安。短時間で良い客もいれば、数週間~1カ月単位と、長い期間を共にすることを希望する客もいる。中には「毎月これぐらい払うから、関係性を維持してくれ」という客もいる。そうした場合、客から額を提示されることになるが、提示額が料金設定を下回ることはないため、応じることが多い。

 支払いは当日前払いが基本だが、海外の場合には、預かり金として総額の10~50%程度を先に支払ってもらうなどしている。新型コロナウイルスが流行する前までは、各国を転々として稼いでいたが、現在の主戦場は「手堅く稼げる」という欧米とアジアの3カ国。一度のツアーの目標額は5万ドル(約670万円)で、今まで一番高額だったのは2週間で約270万円を支払った客だった。海外から日本に来る外国人も戻りつつある今、12月には1週間、客の国内旅行に付き合う仕事で1万ドル(約134万円)の報酬を得る予定だという。現在の固定客は40人ほどだ。

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