■払いすぎた税金 これで取り戻す
それでは、実際に払いすぎた税金を取り戻すための方法をみていこう。
まず多くの人にとって身近なのは医療費控除だろう。基本的に、その年に払った医療費が10万円を超えた分は、納税額を計算するベースとなる所得から差し引ける。控除額の上限200万円まで引くことができ、本人だけでなく、家計が同じ妻や子どもらにかかった分も合算できる。
医療費控除をはじめとする所得控除は、決まった控除額の分だけ、所得税の額を計算するもとになる課税所得が減る。戻ってくるお金の目安は、控除の額と所得に応じて決まっている所得税率をかけ合わせればよい。医療費控除を含め15種類の所得控除がある。
税理士の板倉京さんは「医療費控除は『10万円』という数字にとらわれすぎないようにしましょう」と指摘する。
10万円を超えていなくても、所得が200万円未満の場合は、所得の5%を上回った分の控除が受けられる決まりがあるからだ。所得が100万円の人は100万円×5%=5万円を超えた分の控除が受けられる。
では、どんな医療費が対象になるか。例えば、健康診断や人間ドックにかかった費用は原則、控除の対象にはならないが、検査で病気が見つかり、治療が始まった場合は対象になる。マッサージ代や、メガネや補聴器の購入代金も治療のためと見なされれば対象に含まれるのに対し、疲れを取るためだったり、医師の診断を受けずに買ったりしたケースは対象外だ。
「医師などによる診療や治療によるものかどうかに注目です」(板倉さん)。
「セルフメディケーション税制」(医療費控除の特例)を利用する手もある。市販薬のうち、国が指定した「スイッチOTC医薬品」の購入額が合計で年に1万2千円を超えた分が控除の対象になる。スイッチOTC医薬品とは、医師から処方される医療用医薬品のうち、副作用が少ないためドラッグストアや薬局で買える市販薬に転用されたものをいう。
購入額の限度は10万円なので、10万円-1万2千円=8万8千円が最大で控除できる。