国税庁のホームページなどをもとに作成(週刊朝日 2023年2月10日号より)
国税庁のホームページなどをもとに作成(週刊朝日 2023年2月10日号より)

■控除額を比べて節税効果高める

 対象となる薬は厚生労働省のHPに載っているほか、レシートに星印がついていたり、薬の外箱に共通のマークが印刷されたりしている。家族を含め、通常の医療費控除のように10万円を超えなくても適用できるので、その年にまとまった医療費を払わなかった人は検討してみよう。

 ただし、セルフメディケーション税制は定期健康診断や健康維持のために一定の取り組みをすることが条件となる。通常の医療費控除との併用もできない。控除額を比べ、大きいほうを選ぼう。

 医療費控除でもう一つ注意したいのは、民間の医療保険の保険金や、公的制度の高額療養費といった、後からもらったお金の扱いだ。もらった分を控除額から差し引く必要がある。だがこのとき、自己負担分を上回る保険金を受け取った場合でも、医療費から差し引くのは給付の対象分だけでよいという。

 板倉さんが解説する。

「年間で合計42万円の医療費がかかった家族を考えてみましょう。このうち、夫の手術代30万円は自己負担し、後から保険金50万円をもらったとします。このとき、夫の手術代を上回る20万円分は、保険金の給付の目的外となるほかの家族の医療費からは差し引く必要はありません。つまり、控除額から除かれるのは手術代にあたる30万円だけで、残りの医療費12万円は控除の対象となります」

 寄付をした人は、寄付金控除もある。年間で計2千円を超える寄付をした人が対象で、寄付金の合計から2千円を引いた額に、所得税率をかけた分だけ税金が戻る。

 政党や政治資金団体、認定NPO法人といった特定の団体に寄付をするとさらにお得だ。控除額の分だけ、課税の対象となる所得が減らせる寄付金控除(所得控除)か、税金そのものを直接減らせる税額控除のどちらかを選べる。

 どちらが有利かは所得や寄付金の額によって異なるが、税額控除のほうがより大きな節税効果が期待できるとされる。具体的にどんなところが特定の団体に該当するかは、自治体や内閣府のサイトや寄付先に問い合わせて確認する必要がある。

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