ちなみに、ニューミュージックブームがあだ花に終わらなかったことの最大の功労者は、1978年に世に出た桑田佳祐だろう。そして、サザンオールスターズが「勝手にシンドバッド」でデビューした翌月、歌謡界の大作曲家・古賀政男が没した。古賀メロディーから桑田サウンドへというバトンタッチが期せずして行われたわけだ。
そういえば、昨年の秋には古賀に匹敵する大作曲家・筒美京平が世を去った。そんな年に、大きな変動が起きたのもあるいは何かの必然かもしれない。音楽シーンはまさに、過渡期の真っただ中なのだ。
●宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など