「うっせぇわ」のMV(画像はYouTubeより)
「うっせぇわ」のMV(画像はYouTubeより)
この記事の写真をすべて見る

 3月13日放送の「ノブナカなんなん?」(テレビ朝日系)に、まなまるが登場した。ヒット曲「うっせぇわ」(Ado)をクレヨンしんちゃんの物まねで弾き語る動画がバズったアーティストだ。

【写真】AERAの表紙を飾ったYOASOBIの幻想的なショトはこちら

 7日と14日の「林修の初耳学」(TBS系)には2週連続で、YOASOBIが登場。ヒット曲「夜に駆ける」にまつわるエピソードなどが紹介された。

 そんな土日のテレビを見ながら、音楽シーンの変化を改めて感じた。

「うっせぇわ」も「夜に駆ける」も、新たなシステムから生まれたヒット曲だからだ。どちらもボカロPが作詞作曲を手がけ、SNSで注目された歌手がうたって、動画サイトから火がついた。ともに配信限定ながら、音楽チャート首位にまで登りつめている。

 もっとも、こうした流れは数年前から目立ち始めていた。2009年にボカロP・ハチとして、12年に本名で活動を開始した米津玄師は18年に「Lemon」をヒットさせ、翌年にはFoorinに提供した「パプリカ」(リリースは18年)がレコード大賞を受賞する。

 3月3日に放送された「関ジャム J‐POP20年史 2000~2020プロが選んだ最強の名曲ベスト30」(テレビ朝日系)では「Lemon」が17位、「パプリカ」が7位にランクイン。「Lemon」について、作詞家のいしわたり淳治がこんな評価をしていた。

「YouTubeなどで音楽を聴く世代はイントロを飛ばして聞く人も多いので『再生した瞬間から”歌”が続いていく』というこの曲の構成は、世の中の音楽の聴き方が変わりゆく中でたくさんの人に届いた一つの要因かもしれません」

 ちなみに、このベスト30で29位に入っていたのが「PPAP」(ピコ太郎)。動画が国内外でバズり、世界的なヒット曲となった。

 とはいえ、こうした流れはやや散発的であり、2010年あたりからCD売上を目安とした音楽チャートの主役は長らくアイドルポップス、あるいはアニメソングだった。嵐などのジャニーズ系にAKB・坂道系、RADWIMPSやLiSA。アイドルやアニメの人気と音楽が結びつくことで「恋するフォーチュンクッキー」や「前前前世」のようなヒット曲も生まれたが、固定ファン以外には広がらなかった曲も少なくない。

次のページ
CDセールスより動画の「バズり」が重要