■ 健康によいとは限らない運動や食べ物も
自分に合った対策をたてるには、自己流ではなく、漢方薬局に相談することが近道だが、漢方に興味はあるものの、処方箋薬局ほど一般的ではないため、漢方薬局にかかることをためらう人もいるだろう。気になる料金や、カウンセリングの内容を柳沢さんに聞いてみた。
「漢方薬局により多少違いはあると思いますが、私が漢方相談を行っている成城漢方たまりでは、初回は1時間程度かけてカウンセリングをし、生理のこと、便のこと、食欲、睡眠時間などさまざまなことをお伺いします。舌や唇、声、話し方、姿勢なども体質を知る手がかりです。料金は、お悩みの症状によりますが、PMSや生理痛などですと1カ月5000円~2万円程度が目安。漢方薬をすすめするだけでなく、食事、運動、睡眠などライフスタイルに合わせた生活養生をアドバイスしています」
例えば、月経前に弱りやすい「肝」はストレスに大きく関連しているため、友だちとお喋りするなど、好きなことをして発散することをすすめるという。「気の巡り」は、深呼吸を朝昼夕10回ずつする、好きな香りのアロマオイルをティッシュに1~2滴垂らして枕元に置いて眠る、ヨガやストレッチをするなど、呼吸を意識した動きで改善することも説明。そして「血」が不足すると「肝」の不調を起こしやすいため、普段から肉類、ほうれん草、小松菜、黒ごま、黒豆など、血を補う食べ物を摂ることをすすめている。
最後に、PMSとの向き合い方について、アドバイスをもらった。
「自分で『健康に良い』と思って頑張っていることが、漢方的にみると体質にあわないということもあります。例えば、女性に多いエネルギーや血の不足タイプは、ジョギングなどよりもヨガ(ホットではないヨガ)や、ストレッチ、ウォーキングなど、エネルギーを消耗しない運動の方があっています。食べ物においても、『健康に良い』とよく言われるものが自分にあうとは限りません」
また、柳沢さん自身がそうだったが、健康になりたくて一生懸命やっても良くならないと、逆にそれがストレスになることもあるという。漢方では「中庸」という「何事もほどほどに」という意味の言葉があるそうだ。
「『食事も運動も!』とストイックに頑張りすぎている方は、一度ペースダウンし、『今日はできなかったけど、まぁいいか』という思考に変えて、ゆるく養生してみてもいいかもしれません」
甘やかし過ぎはもちろん良くないが、「何事もほどほどに」。緩急バランス良く養生することが、健康への近道なのかもしれない。(旦木瑞穂)
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