写真はイメージです(Getty Images)
写真はイメージです(Getty Images)
この記事の写真をすべて見る

 突然イライラしたり、不意に涙が出てきたり、生理前は自分が制御不能になる――。月経に伴う身体症状については近年、社会でも認知されるようになったが、生理前に起こる心身の症状については、あまり知られていない。体の変化のほか、緊張感や不安の高まり、注意力の欠如や脱力感などメンタル面の不調を伴うことがあり、医学的には「月経前症候群:PMS(Premenstrual Syndrome )」と呼ぶ。特に心の症状が重い場合を「月経前不快気分障害:PMDD(premenstrual dysphoric disorder)」という。日常生活にも支障をきたすこともあるが、なかなか周囲の理解を得られず、トラブルを一人で抱えがちだ。今回は、漢方でPMSの症状が改善した漢方薬剤師の女性に話を聞いた。

【写真】知ってる?膣トレグッズ、ピル飲み忘れリマインダー…欧米発「フェムテック」

*  *  *

■ 働くママは家庭内で「タブー」にしない

 東京都内で漢方薬剤師を務める柳沢侑子さん(35歳)は、働くママ。社会人になってから、PMSに悩まされるようになった。現在、子どもは3歳と1歳。手のかかる年頃の2児の子育てと仕事との両立は普段でさえ大変なのに、月経前のPMSをどうやって乗り越えているのだろうか。

「睡眠を十分に摂るために、月経前ではない元気なときに夕飯のストックを作っておいたり、月経前になるとどうしても普段よりイライラしやすくなってしまうので、あらかじめ夫や子どもたちには『イライラしてしまうかもしれないけど、一時的なものだから許してね』と伝えておくことで、お互いにストレスを減らす工夫をしています」

 漢方薬剤の柳沢さんは、月経前中後の不調になりやすい時期でも、漢方・食・生活養生で、自分の体と心にストレスをかけずに一日を過ごせるよう、心がけている。実践で重視しているポイントは二つ。一つ目は、月経期は養生期間ということをしっかりと認識し、家事、育児、仕事でできるだけ無理しないで早く寝て、睡眠を十分に摂ること。二つ目は、月経前であることを家族に知らせることだ。

「私は、普段から月経に関することを隠さず口にして、家庭内でタブー感がないようにしたいと思っています」

著者プロフィールを見る
旦木瑞穂

旦木瑞穂

プロフィール:旦木瑞穂(たんぎ みずほ)/愛知県出身。グラフィックデザイナー、アートディレクターを経て2015年に独立。葬儀・お墓・ダブルケア/シングル介護・PMS/PMDDに関する執筆のほか、紙媒体の企画編集・デザイン、イラスト制作を行う。

旦木瑞穂の記事一覧はこちら
次のページ
私が漢方薬剤師になった理由