3月19日に選抜高校野球大会(阪神甲子園球場)が開幕した。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止されたため、2年ぶりの大会。待ちに待った夢舞台に集ったのは、通の目をうならせる好投手たち。今後、どんな“大物”に化けるのか、元プロ野球編成担当らに取材した。
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好投手の活躍が目立つ今年のセンバツ。粒ぞろいの中で存在感が際立つのが達孝太(天理・奈良)だ。193センチの長身から投げ下ろす直球は抜群のキレ。ダルビッシュ有(パドレス)を連想させる体形のためか、「天理のダルビッシュ」とも呼ばれる。2回戦の対健大高崎(群馬)では、自己最速を更新する148キロを計測。強打のチームを相手に2安打完封した。
プロの目もその潜在能力に太鼓判を押す。巨人の元編成担当で長年、スカウトからの情報を集めてきた三井康浩氏はこう激賞する。
「長身、手の長さ、直球の角度は一番の武器です。足を上げてから投げ下ろすまでの独特の間合いや、変化球からカウントを取る器用さもある。ただ、上体に頼って投げている面もあるので、下半身に筋力がつけばもっとよくなるでしょう。のびしろは一番。私が球団のピッチングコーチなら育ててみたい投手です」
「流しのブルペンキャッチャー」として全国のアマチュア選手の取材を続けるスポーツライターの安倍昌彦氏もこう話す。
「3年春の時点で言えばダルビッシュ選手以上。力感のないリラックスしたフォームで、投げ終わりで体勢が小さくなれて、頭が振れないから球筋に乱れがない。さらりと140キロ台後半の直球を投げ込みます。故障がなければドラフト1位クラスでしょう」
大会ナンバーワン投手として前評判が最も高かったのは小園健太(市和歌山)。最速152キロを誇る右腕は、初戦の対県岐阜商で130球完封と期待に違わぬ投球を見せた。剛腕のイメージ以上に目立ったのは「クレバーさ」だと安倍氏、三井氏ともに指摘する。
「打者との力関係をよく観察して力配分ができる。ゲームを組み立てる能力が抜群です」(安倍氏)