うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
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高校受験のシステムで、ずっと疑問に思っている点があります。それは、「内申点を重要視する」というシステムが当然のように存在し、また全国の高校と生徒がこれを普通に受け入れていることです。
内申点は、もちろん中間・期末テストや小テストの点数も関係してきますが、授業中の態度や提出物、教師との相性、授業の相性によっても変わってしまう、どこかあやふやさが残るものです。
■「常に良い生徒でいよう!」とさせる緊張感と閉塞感
生徒だって、性格や先天的な性質により、学校内で良い子を演じられる器用な子もいれば、不器用な子もいます。さらに、高校受験のために「常に良い生徒でいよう」とさせる緊張感、閉塞感が、自由な学生生活を支配しているようにも感じます。各中学校でレベルや授業内容が異なるにも関わらず、内申合計点は全校同等に扱うのも、奇妙なことです。
たとえば、ある有名高校を受験するには内申が40点必要だとします。内申点につかう点数は、国数理社英の主要5教科に、音楽、美術、保健体育、技術・家庭が加わった9教科で、それぞれ5を最高点とし合計を出して決まります。つまり、1教科の平均点として4.5をとらねばならないわけです。
私なんて、音痴なうえリズム感もないので音楽で2をとった悲しい経験がありますが、そうした場合、あとの教科でほぼオール5をとらなければ受験資格さえなくなってしまうのです。そうした意味では、努力以外のものにかなり左右されやすいといえます。
昔は、横並びで輪からはみ出さないような教育が主流でしたが、現在は子供の個性や多様性を重要視していこうという傾向が強くなっています。そんな流れに逆らうように、突然ある時期から高校受験でのみ内申書点数化の導入が始まり、全ての教科が「オールマイティーにできる子」を育てる受験システムができあがりました。
大学受験では、学校での様子を伝える内申点・調査書はほとんど重要視されません。学校側に入学試験の情報開示を求めれば、それは明らかです。そして、個人が得意とする分野の個性を重視します。