ダイエットで話題の「コーチング」だが、近年、英語学習者の間でもはやっているのをご存じだろうか。ジムのトレーナーと同様、英語コーチが学習者の「やる気に着火」してくれる。コーチングで英語力が上がる仕組みとは? 現在発売中の『AERA English 2021 Spring & Summer』(朝日新聞出版)では、これまで約4000人の指導に携わった英語学習・メンタルコーチの船橋由紀子さんに話を聞いた。
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目標はあるけど仕事が忙しくて勉強が続かない、いろいろな学習法を試したけど効果が上がらない……。そんな人にはコーチングが有効かもしれない。
「コーチはゴールまでの道を教えてくれて、挫折しそうになったら引っ張ってくれます。自分で勉強できる人も、コーチをつけることで学習効率が上がり、目標までの時間を短縮できたり、より遠くのゴールを目指せたりするんです」
10年以上のコーチング歴を持つ船橋由紀子さんはこう語る。
英語学習のコーチングは、英語そのものを指導するのではなく、目標に到達するための効率的な学習方法を教え、勉強を促すものだ。コーチの重要な役割の一つは「やる気に着火すること」だという。
「コーチが見ていることで学習者が期待に応えようと頑張る『ピグマリオン効果』が大きい。やっていることを承認したり、その方向性で大丈夫と背中を押したりすることで、頑張れる人がすごく多いんです」
また、一人では意外と気づけない「学習の盲点」を指摘するのもコーチの役割だ。人は過去の成功体験や失敗体験をもとに、無意識のうちに学習方法を選んでしまう傾向がある。例えば大学受験のときに単語を書いて覚えた成功体験がある人は、英会話の上達を目指しているにもかかわらず、書いて学ぼうとしてしまう。
コーチはそんな学習者の状況を客観的に見て、学習の穴を指摘し、強化すべき英語力に対して適切な方法を提案してくれる。学習の質を上げることで、効果的に進められるようになるというわけだ。