愛知県の大村知事へのリコール活動をめぐって、大量の偽造署名が確認され、捜査中だった事件が大きく動いた。
愛知県警は5月19日朝、リコール活動の事務局長だった田中孝博容疑者を地方自治法違反(署名偽造)の疑いで、滞在先の静岡県伊豆市のホテルで逮捕した。また田中容疑者の妻、なおみ容疑者、次男の雅人容疑者、事務局スタッフだった渡辺美智代容疑者も逮捕された。
田中容疑者は昨年10月、佐賀市でアルバイトを大量動員し、リコールの署名簿に愛知県内に住む人の住所や名前、拇印を押させた偽造署名を主導したとみられる。提出された署名43万筆のうち、約8割が偽造の疑いが濃く無効とみなされ、愛知県が刑事告発していた。
大村知事のリコール活動の応援団として活動していた名古屋市の河村たかし市長はAERAdot.編集部の取材にこう語った。
「ワシはまったく知らないことだ。田中氏が逮捕され真相解明に近づいたと思います。ワシの関与が絶対にないことも明らかになるでしょう」
また、リコール活動の代表だった高須クリニックの高須克弥院長は田中容疑者の逮捕前、AERAdot.の取材にこう語っていた。
「警察が捜査しているので、見守るしかない。事務局長の田中氏を信じている」
捜査関係者が今後の捜査の進展を語る。
「偽造署名をはじめ、すべての疑惑を知る男、田中容疑者の逮捕で洗いざらい、わかってくるはずだ」
リコール活動がはじまったのは、昨年8月末。田中容疑者が偽造署名に動き出したのは10月だったという。河村氏はこう経緯を語る。
「田中氏から確かに昨年10月中旬に『署名が思うように集まらない』と相談はあった。10年前にワシは名古屋市議会のリコール活動を成功させているので、その経験などを話した」
その時、すでに田中氏は「工作」に動いていたという。リコール事務局2階に田中氏が自身の親族、事務局関係者ら数人に集まるように指示したのは、昨年10月初めのこと。ここで偽造署名の「謀議」があったという。