エストロゲンは骨や血管を丈夫にしたり、コレステロールを調節したりする働きがある。このため、エストロゲンが減る更年期以降は、動脈硬化や脂質異常症、骨粗しょう症が増え、心疾患や脳血管疾患、骨折のリスクが高くなる。
「日本人女性の平均寿命は男性に比べて長いですが、健康寿命(日常生活に制限なく暮らせる期間)については、大きな差はありません。更年期に脂質や血圧、骨量、糖代謝などをチェックし、異常があれば治療することが、健康寿命を延ばすことにつながるのです」(若槻医師)
更年期障害の治療の主となるホルモン補充療法は、更年期障害の症状だけでなく、脂質や骨量などの改善にもつながる。
「更年期で婦人科を受診する際には、人間ドックや健康診断の検査結果をぜひ持ってきてください。更年期障害は、関連する症状だけではなく包括的に診ていくことが大切なのです」(同)
(文・中寺暁子)
※週刊朝日2021年6月11日号より