だから就活をすでに終えたLGBT当事者たちで協力して、情報を共有したり発信したりしながら、就活生を応援できることがあれば関わっていきたいと思います。私が出演しているドキュメンタリー映画「息子のままで、女子になる」の中でも、JonRainbowの方々と一緒にLGBT就活生のための就職支援イベントを準備する場面が出てきます。
――入社してから、会社側が環境を整えてくれたということが何かありましたか?
入社するときに人事部の担当者から「就活でカミングアウトされたのは初めてで、正直どうすればいいかわかりません。だから問題があれば一緒に変えていきましょう」と言われて、安心して働けそうだと感じました。
会社が取り組んでくださった事例の一つが、戸籍名と異なる通名を社員証で使えるようになったことです。私のようにジェンダーが理由ではなく、夫婦別姓を選択された方や、日本での通称を使いたい外国人スタッフの方もこの制度を利用できるでしょう。
――ジェンダーに対して大きな取り組みをする予算のない企業でもできることはありますか?
「誰でもトイレ」を設けるようなハード面の取り組みは予算がかかるので、社内のモラルをアップデートするための研修を行うなど、ソフト面から始めるのが良いと思います。LGBT当事者が社内にいるかもしれないという機運が高まるだけでも環境は変わりますし、その上で当事者の方が入社してきたら本人と話し合えばいいと思うんです。話し合える雰囲気があるかどうかが、「誰でもトイレ」があるかより、もしかしたら重要かもしれません。
――職場にLGBT当事者の方がいる場合、本人に直接その話を聞いてもいいのでしょうか。
これはあくまで私の場合ですが、間接的に噂されるより直接聞かれるほうがいいですね。当事者にLGBTについて尋ねる理由にも色々あると思うんです。恋愛対象が知りたいとか、男女どちらのトイレを使うか確認したいとか、あるプロジェクトにおいてLGBT当事者の意見がほしいとか。