●2柱は北里研究所の守護神として
この社は一時期、本館の屋上へ遷宮された時期もあったが、現在は元の北里祠のあった場所へと移され、「コッホ・北里神社」称して、今も北里大学白金キャンパス・北里研究所病院の構内に鎮座する。そして、北里研究所の創立75周年事業の一環として、埼玉県の北里大学北本キャンパス内にも祭神が分祀され、お宮が作られた。北本キャンパスは広く、緑豊かな構内に立派な鳥居とともに社殿が整備され大事にされている様子がうかがえる。また、白金のキャンパス内の社では、毎年、コッホの命日5月27日には献花が、北里の命日である6月13日に催事が行われている。
●日本医師の恩人・北里柴三郎
北里柴三郎は、日本の医学会にとって神のような存在であることは間違いない。母校であるにもかかわらず、帰国後、東大医学部と対立し無聊を託っていた彼に手を差し伸べたのは、福沢諭吉だった。この恩を返すために、諭吉の死後に廃校となっていた慶應大学の医学部を復興させるべく尽力したのである。
現在のコロナ禍の中で、有望な治療薬として注目される「イベルメクチン」は、北里研究所で尽力してきた2015年のノーベル賞ノーベル生理学・医学賞受賞の科学者・大村智博士の研究から生まれたものである。北里病院では現在治験が進められているが、コレラや結核、炭疽菌を発見したコッホ博士と感染症治癒で医学を支えた北里博士が守護神である以上、きっと明るい結果をもたらすに違いない。一日も早い正常な日常回復を祈願して、明日の北里博士の命日には、お参りに是非出向きたいと思っている。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)