日本は、戦後一貫してこの理念に忠実に生きて来た。それにより、日本は戦争をしない国、日本人は常に中立な人たち、という国際的信頼を築き上げたのだ。今後、日本が米国と一緒に海外に出て行って人を殺すようなことをすれば、戦後70年以上かけて培った国際的信頼を一瞬で失うことになるだろう。
「平和主義」は良いことに決まっている。それを積極的に進めるのだから、政府の「積極的平和主義」はもっと良いことに決まっている。だが、「積極的平和主義」の中身が偽りだとすれば……。
日本の本来の平和主義の破壊を止めるには、目指すべき「積極的平和」の真の意味をマスコミが国民に正確に伝えることが何よりも必要だ。
※週刊朝日 2021年9月3日号
■古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『官邸の暴走』(角川新書)など