「園内を自由に移動でき、疲れたら動物と交流もできる。『自由すぎるワークスペース』と思っていただきたい」

 香川県東かがわ市のしろとり動物園で副園長を務める松村一史(かずふみ)さん(37)はこう話す。同園が今年4月から提供する「zooワーケーションプラン」は、折り畳みのデスクと椅子、ポケットWi-Fiなどが借りられ、約1.2ヘクタールある園内のどこでも仕事ができる。

 基本使用料は4時間1500円から(別途入園料で1300円)。プラス3500円(1時間単位)でキリンやゾウ、トラなどの動物を背景に会議ができるオプションも追加できる。I‌T関係者を中心に、週平均2~3件の利用があるという。

「『背景にいる動物、何?』と会議が盛り上がったという感想をいただきます。よそ見せず画面に向き合う在宅勤務と違い、仕事上のコミュニケーションでは脱線もプラスになるのでは」と話す。

 ワーケーションは「仕事(ワーク)」と「休暇(バケーション)」のかけ合わせと解されることが多いが、労働法が専門でテレワークにも詳しい川久保皆実弁護士によれば、非日常的な環境で新たな交流を生むコミュニケーション、画期的なアイデアを生むイノベーション、さらに人材育成に役立てるエデュケーションなどの意味合いも含まれるという。

「仕事に休暇が組み合わさったというだけでは、企業側に『今ある福利厚生制度で十分』と捉えられかねません。非日常空間での経験が新たな価値を生み、会社の利益にもつながるという理解が広がれば、さらにワーケーションの導入が進むと思います」(川久保弁護士)

「アフターコロナ」を見据え、あなたもまずは一度、近場のお出かけから始めてみてはいかが。(本誌・松岡瑛理)

週刊朝日  2021年9月3日号

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