そのため、球数制限の現行ルールと併用するならば、試合続行が不可能となった場面の得点差、塁状況、ボールカウントを再現した上で試合を再開する「サスペンデッドゲーム」を導入するべきだという声もあり、今大会期間中もSNSなどで、“サスペンデッドゲーム待望論”が浮上していた。

 ただ、導入にあたってネックとなる部分がある。それが、「続行不能となった試合で途中交代した選手は、日を改めての続行試合でも試合できない」という公認野球規則で定められているルールだ。あくまで仮定の話となるが、続行試合が故障者が出た場合、試合打ち切り時に出場していながらも、試合間で体調不良となり続行試合の出場が難しくなるなどのケースで、交代できる選手がベンチにおらず、没収試合で敗戦となる可能性もあるのだ。そのため、サスペンデッドを導入するならば、条件付きでの交代済み選手の再出場(リエントリー)を認めるなど、特別規則の枠組みの構築は不可欠だろう。

 現行のノーゲームでの再試合を継続するならば、投じた球数の半数のみカウントするなど、完全に公平性を保つのは難しいにしても、レギュレーションの整備を望みたい(その場合、指導者の判断で選手の肩、ひじを守る意識が大前提となるが)。

 長雨は球数制限だけでなく、大会期間中の練習場所の確保にも大きな影響を及ぼした。

 通常、大会期間中は大会運営サイドから割り当てられる練習会場(多くの場合公共の野球場)で2時間程度の練習が許可されるが、悪天候時に使用する室内練習場などは、運営サイドからは手配をされない。近畿圏のチームは自校で所有している室内練習場を活用できる一方、近畿圏外の代表校は、自力で練習場所を確保する必要がある。

 今大会を例に挙げると、長崎商が同じ商業高校として交流があった明石商の室内練習場を、高川学園は指導スタッフの出身チームで、現チームにもOBの選手がいる中学硬式クラブチームの室内練習場を借りて調整。他にもOBの選手が進んでいる関西近郊の大学、社会人チームの施設を借りるなど、各チームが、地縁や交友関係を辿りながら練習環境の確保に奔走するのだ。

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練習場の確保で不公平感も