度重なる雨天順延などがクローズアップされた今年の夏の甲子園 (c)朝日新聞社
度重なる雨天順延などがクローズアップされた今年の夏の甲子園 (c)朝日新聞社

 2021年8月29日。青空、球場内に吹き抜ける心地よい風、晩夏を思わせる気候の中、19年ぶり、決勝では初めての“智弁対決”が繰り広げられ、熱戦の末に智弁和歌山が2000年以来、3度目の夏の頂点に立った。

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 8月10日に開幕した第103回全国高等学校野球選手権大会。2年ぶりに帰ってきた「夏の甲子園」は、歴史と伝統だけでなく、これから必要な変革を感じさせる大会となった。

 今大会を語る上で欠かせないのが、大幅に大会日程を狂わせた季節外れの長雨だ。

 当初開幕は9日を予定していたが、台風9号の接近に伴い、10日に開幕が順延。大会1、2日目は天候に恵まれ、無事に計7試合を消化できたが、3日目から文字通り雲行きが怪しくなる。大会注目投手筆頭の最速157キロ右腕・風間球打を擁する明桜が登場する第1試合は、小雨が降る中プレーボールを迎えたが、雨脚が強まったことにより、4回終了時点で試合続行不可能と判断。ノーゲームが宣告され、その日に予定されていた残り3試合も翌日に順延された。

 翌13日、翌々日の14日も早朝から雨は降り止まず、全試合が順延。ここで、3回戦と準々決勝、準決勝と決勝の間に予定されていた休養日が消滅。全部で3日間用意されていた休養日の内、2日が無くなる事態となった。

 降雨ノーゲームで試合が不成立となった際に問題となるのが、今春のセンバツから甲子園でも導入された「球数制限」だ。大会が定めるのは「1週間500球以内」の投球数に収める投球制限。ノーゲームとなった試合の成績は「参考記録」扱いとなるため、奪三振や記録した安打、本塁打などは“幻”となるが、ここで投じた球数だけは、投球制限上、厳格にカウントされる。

 そのため、風間が投じた55球、帯広農の佐藤大海の74球は、1週間以内の投球数の一部となるのだ。投手を故障から守るためのルールなので、試合が成立していない中で投じた球数をカウントするのも筋が通っているのだが、大会日程が詰まってくる終盤にノーゲーム分の球数が絡むのは、かなりの痛手となり、不公平感を生む。

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サスペンデッドゲームは導入すべき?