ルール上、「こんなプレーやパフォーマンスはNG」と明文化されているわけでもないのに、「やってはいけない」とされる暗黙のルールが存在する。野球界の不文律である。
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代表的なのが、大量リードした試合での盗塁だ。
2007年4月19日のヤクルトvs横浜では、11対0とリードした横浜の7回の攻撃中、一塁走者の石川雄洋が二塁に走った直後、捕手の古田敦也兼任監督が横浜ベンチに向かって「何走っとんねん、こらあ!」と叫んだ。
大差がついた試合での盗塁は、米球界でも暗黙のルールに反する行為として、故意死球などの報復を受けても仕方がないとされている。
はたして、次打者・内川聖一と村田修一は連続死球。さらにカーブのすっぽ抜けを身をかがめて避けた村田の頭部にボールが当たったことを理由に、遠藤政隆に危険球退場が宣告されると、古田兼任監督は「抜けた球は危険球ちゃう言うたやんけ」と激昂して球審に暴言を吐き、これまた退場処分となった。
この事件がきっかけで、翌08年からルールの一部が改正され、大差の試合での盗塁は、記録として認められないことになった。
01年5月22日の巨人vsヤクルトでは、投手が内野ゴロで全力疾走したことが“不文律破り”としてクローズアップされた。
8対1とリードしたヤクルトは、9回2死三塁、藤井秀悟が遊ゴロで一塁に全力疾走し、間一髪アウトになった。
このプレーに対し、巨人ナインは「大差がついた場面では、投手は打たないのが暗黙のルールだ」と藤井をなじり、強烈なヤジを飛ばした。
藤井はその場で「すみません」と謝ったが、直後のマウンドで感情のコントロールがきかなくなり、泣き出してしまった。
ヤクルトファンは「全力で野球をやって何が悪い」と藤井を擁護し、巨人の球団本部にも「そういったマナーがあるのか?」の抗議が相次ぐなど、納得できないファンも多かった。
また、藤井のプレーは最終回だったため、ヤジ攻撃になったが、もし、もう1打席回ってくるシチュエーションだったら、報復の内角攻めを受けた可能性もゼロではなかったと思われる。