右手でガッツポーズしながら二塁を回った神戸は、西武ベンチ前で誇示するように両手を突き上げ、何度も飛び跳ねながら三塁を通過。ホームイン後には、一塁スタンドに向かってM字開脚までして見せた。西武側がカチンときたのは言うまでもない。
そして、3回2死の2打席目、神戸は3球続けて内角を攻められたあと、お約束のように死球。直後、「故意にぶつけた」とロッテ・金森栄治コーチが捕手・細川亨に詰め寄り、両軍ナインによる乱闘騒ぎになった。
西武・渡辺久信監督は「狙ってたわけじゃない」と故意死球を否定したが、「いきさつは見てればわかるでしょう。あまりにもひど過ぎる」と神戸への怒りをあらわにした。
8対3の勝利のあと、お立ち台に上がった神戸は「はしゃいですいません」の第一声のあと、「(死球は)故意的なものではないと思う。ライオンズの方々にも悪いことをした。サヨナラとかだったらいいけど」と反省しきり。「身に過ぎた果報は災いの基」という諺を胸に刻む結果になった。(文・久保田龍雄)
●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。