学校周辺で流行が起きていれば、休校は一つの有効な選択肢であると僕は考えます。
■打てる人がワクチンを
――文部科学省は「子どもの健やかな学びの保障や心身への影響等の観点からも、地域一斉の臨時休業は避けるべきである」との方針だ。子どもの感染増加を受けて8月27日に出した、学校で感染が発生した場合の対応ガイドラインでも、学級閉鎖、学年閉鎖、学校閉鎖と段階を追った対応をとるよう求めている。
デルタ株は従来のウイルスより2倍も感染しやすく、従来通りの対策では効果が出にくくなる恐れがあります。大切なのはいざという時に、学習や生活に支障をきたさず、学級閉鎖や休校というより強い感染対策が取れるよう準備しておくこと。オンライン授業は選択肢として確保すべきです。
――文科省によると、小学生の感染の6~7割は家庭内で起きている。しかし、今はまだ12歳未満が打てるワクチンはない。家庭でできる対策はあるのか。
まず、家庭内感染防止は非常に難しいことを理解すべきです。食事も居室もトイレも風呂も全て別々にし、マスクをつけて生活すれば、ある程度は感染を防げるかもしれません。でも、それはもはや「家庭」ではないですし、しんどいですよね。
ワクチン接種が可能な年齢に達していない子どもを守るには、周りの大人が一刻も早くワクチンを打つしかありません。デルタ株に対しても、ワクチンには重症化を防ぐ効果があります。日本では打ちたくても打てないという問題がありますが、それでも可能な限り早くワクチンを打った方がいいと僕は考えます。現実的な最善策は、感染をできる限り家庭にもち込まず、打てる人がワクチンを打つということでしょう。
(構成/科学ジャーナリスト・大岩ゆり)
※AERA 2021年9月13日号