「もともとギリギリの人員なのに、未配置や、体調不良で休む先生もいるので、補教(代わりの教員)さえも組めない状況です。授業準備時間がなくなる一方で、事務作業は学級担任がいないクラスの分も負担しなければならない。もう回りません」
中川さんもこう指摘する。
「この十数年、英語必修化やプログラミング教育、道徳の特別教科化など仕事が増える一方で長時間過密労働を強いられています。さらに未配置の教員分をカバーするために学校現場の負担が増え、その結果心身を病む教員が増えてさらなる未配置を生む。悪循環が起きています」
教員未配置によって子どもたちの学びも揺らいでいる。
前出の女性教員が勤務する学校では、7月に社会科の教員が産休に入った後、代替教員が見つからず、2学期からは別の学年を教える再任用の教員が2クラス、60~70人合同で授業をしているという。昨年度、理科の教員1人が1年間未配置だったときは、他学年の理科教員が授業を受け持ったが、週4時間の授業時数は担当できず、週1時間は自習させていたという。
「自習の補教に入りましたが、私の専門は別の科目なので、生徒の質問に答えられない。生徒たちに申し訳なかったです」
県内の小学校に勤務する男性教員(38)もこう話す。
「音楽の先生が産休に入った後、未配置になったので、音楽の授業も私が担当しています。3学期には書写専科の先生も産休に入る予定ですが、専科の先生と比べたら、どうしても授業内容が劣ってしまう」
筆者の息子が通う千葉県北西部の小学校でも教員未配置問題は深刻で、まだ小2ながら、担任はすでに5人目。担任不在の期間もあり、校内の先生が代わる代わる授業を担当していたが、自習状態の時間もあったという。
中川さんは言う。
「本来配置されなければならない教員が配置されないのは、学校教育法にも違反していますし、憲法が保障する子どもの教育を受ける権利も侵害しています」