あけぼの診療所の下山祐人院長が強調する。

「看病する人は感染のリスクが高くなります。重症化リスクが比較的低い人ひとりが看病に当たるようにしてください」

 重症化しやすいのは「65歳以上の高齢者」「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、慢性腎臓病、悪性腫瘍(しゅよう)、肥満、喫煙、免疫抑制の重症化リスク因子を持つ人」。看病する側はこれらに該当せず、2回目のワクチン接種を終えて2週間が過ぎた成人だと理想的だ。

 家族に感染者が出た場合、最初にやるのは過ごす空間を分けることだ。感染者は個室が原則。無症状や軽症でも同様だ。トイレに近く、かつ対角線上に窓があるなど、換気しやすい部屋であればなおいい。

 しかし、家の構造によっては部屋を分けることが難しいケースもある。東京都医師会副会長で感染症担当を務める角田外科消化器科医院の角田徹院長は、次のようにアドバイスする。

「新型コロナウイルスは、飛沫(ひまつ)感染が7~8割を占めると言われています。少なくとも2メートルの距離をあけ、仕切りやカーテンでエリアを区切り、感染リスクを減らします」

 トイレや風呂、洗面所といった共用部分は清掃と換気をこまめに行う。ドアノブ、照明のスイッチ、洗面台、トイレのレバーなどよく触れる場所は1日1~2回消毒する。ドアノブやレバーは家庭用洗剤を100倍希釈したもの、トイレや浴室は住居用洗剤で拭き掃除をする。感染者は個室を出たら、手洗いとアルコール消毒を徹底する。風呂は最後に入り、浴室をシャワーで流して換気をする。

「清掃や消毒は大切ですが、過度に神経質にならなくていいです。それより、換気を十分に行うべきです」(角田さん)

 まず自宅の「24時間換気システム」がオンになっているか確認しよう。2003年7月以降に建てられた住宅には設置が義務付けられている。たいてい風呂や脱衣所にスイッチがある。

■対角線上の窓を開ける

 窓も開けよう。対角線上にある窓を大きく開けるのが基本だが、なければ換気扇を回す。これから肌寒くなってくるが、国際医療福祉大学熱海病院の〆谷直人・臨床検査科検査部長は「24時間換気システムや換気扇で室温を大きく変動させることなく換気を行えます」という。

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