自分に合った薬を知っておく必要がある。鎮痛剤や解熱剤は事前にドラッグストアで買っておけば安心だ(撮影/写真部・高橋奈緒)
自分に合った薬を知っておく必要がある。鎮痛剤や解熱剤は事前にドラッグストアで買っておけば安心だ(撮影/写真部・高橋奈緒)

 ひとり暮らしもつらいが、家族がいれば、うつさないための対策が加わる。家族の事情を考えた対策を紹介する。AERA 2021年9月20日号から。

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 千葉県船橋市に住む50代の女性は、大学生の息子と高校生の娘との3人暮らし。今年5月、最初に息子が発熱し、PCR検査で陽性になった。女性と娘にも感染し、全員が自宅療養になった。幸いなことに、3人ともほぼ無症状だった。外出できないことを除いては、通常と変わらない生活を送った。「3人でビデオを見たりゲームをしたり。むしろ久しぶりの“密”な親子の時間でした」(女性)

■子どもたちが次々感染

 家族全員が感染しても、無症状かごく軽症で済めばいい。それでも、生活は相当制限されてしまう。小さい子どもがいる場合は、より困難を伴う。

「急に症状が悪化すると耳にするので、子どもたちが重症化しないかすごく不安です」

 大阪市に住む女性(29)は心境を吐露する。8月下旬、発熱した小学3年の次女(8)が陽性になった。夫(31)と小学4年の長女(9)との4人暮らし。次女は別の児童から感染したと見られるが、それまで同じ部屋で寝ていたのをやめた。

 次女は小児喘息(ぜんそく)の持病がある。いつ血液中の酸素濃度が下がり、呼吸困難に陥るか分からない。それなのに、保健所からは診断後3日経っても連絡が来ず、自宅療養かホテルに行くのかも分からない。そうしているうち、長女が発熱し、陽性が判明した。

 自宅療養では家庭内感染のリスクが高まる。大阪市の夫婦もいまは陰性だが、「いつ感染してもおかしくない」という。

 今回、話を聞いた専門家全員が口にしたのが、「感染者と非感染者が極力接触しないようにする。看病する人はひとりに限定する」「感染者と接する時は、どちらもマスクを着ける」「感染者、非感染者ともに流水と石鹸(せっけん)でこまめに手を洗い、消毒用アルコールで手指を消毒する」の3点を徹底することだった。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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