神戸悟(かんべ・さとる)/教育ジャーナリスト。河合塾、都内大学、国立研究開発法人を経て、現在は大学・入試を専門分野として活動(写真:本人提供)
神戸悟(かんべ・さとる)/教育ジャーナリスト。河合塾、都内大学、国立研究開発法人を経て、現在は大学・入試を専門分野として活動(写真:本人提供)

「21年度はコロナ禍のまっただ中で実施されたので、大学の対応も特殊でした。横国も22年度は個別試験を行います。感染の状況がよほどひどくならない限り、急な変更はないと思います」(神戸さん)

 大学通信の安田さんは、推薦をもっと活用すべきだと考える。

「コロナ禍で学校活動が制限されたことで、21年度は推薦入試の出願をあきらめた人がいましたが、もったいない。たしかに英検もなく、全国的な大会も開かれませんでした。生徒は自分にはセールスポイントがなく、応募資格がないと考えたようです。でも、それで十分です。大学は活躍だけを求めているわけではありません。例えば、コロナ禍にこんな練習をしたとPRするのもいいでしょう。指定校推薦だけでなく、総合型選抜のような公募型を活用する手もあります」

 共通テストの出願は10月7日まで。希望者は忘れないようにしたい。

「点数のよし悪しにかかわらず、共通テストのスコアを持っていることは重要です。例えば、21年度の横国の理工学部は、80人の欠員を補う2次募集を行うとき、共通テストの点数で判定しました。共通テストを受けていなければ、出願自体できません」(神戸さん)

■コロナ次第で状況反転

 河合塾の近藤さんも言う。

「コロナに感染して個別試験を受験できなくなった場合、共通テストを受けていれば判定してくれる大学もあります。セーフティーネットとして、受けておいた方がいいでしょう」

 最後に、今後のポイントをエキスパートたちに聞いた。

「天王山といわれる夏休み明けは、志望校を固め始める時期になります。9月以降の模試の結果で、22年度の入試がどういう動きになるか見えてきます」(近藤さん)

「11月ごろの時点で感染が拡大していれば、21年度の入試のような傾向が続くでしょうが、ある程度収まれば、状況は反転して、コロナ前に戻っていくのではないかと思います」(駿台教育研究所・進学情報事業部部長の石原賢一さん)

(編集部・井上有紀子)

AERA 2021年9月27日号より抜粋