写真は本文とは関係ありません(※イメージ写真/iStock)作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします
写真は本文とは関係ありません(※イメージ写真/iStock)
作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします

 5年半もの付き合いで喧嘩もほとんどなかったとはいえ、掃除も料理もあまりせず、ひいきのプロ野球球団が勝っておいしい外食ができれば満足で、乱雑で汚い部屋の中で一日の大半を眠って過ごす能天気な彼女と生きていくことに不安はかなりありますが、遠距離恋愛中も結局別れを選ぶには至りませんでした。俺、柔弱なだけかも、と思う夜もあります。

 選択的夫婦別姓制度ができていればすんなりとその道を選んでいたことでしょうが、6月の最高裁判決からしてもそう簡単にはいかないと落胆しています。

 指輪もいらん、式も身内だけで食事会やって終わりでいい、そんなドライな夫婦のまま共に同じ職場で働いていくことになりそうですが、結婚と姓、そして家族について、私はどう向き合っていくべきなのでしょうか。

【鴻上さんの答え】
 スタベッキさん。困っていますね。ずっと「選択的夫婦別姓」が実現していないことへの憤りだと思って読んでいたら、突然、「乱雑で汚い部屋の中で一日の大半を眠って過ごす能天気な彼女」なんて文章が出てきますもんね。迷って、揺れて、思わず書いたんでしょうか。

「俺、柔弱なだけかも、と思う夜もあります」と書かれていますが、そんなことはないと思いますよ。

 スタベッキさんは、彼女の「名字を変えたくない」という思いをちゃんと受け止めているじゃないですか。たくさん話し合っていろいろ調べていっぱい悩むのは、人間関係を作り上げる最も大切なことだと思います。

 それで、「事実婚という選択をするしかない、と考えて大まかな合意」というのも、僕は二人が納得したことなら、素敵なことだと思います。それぞれの両親が「基本、二人の好きにすればいい」と言ってくれているのも、素晴らしいと思います。どんなに内心、淋しいと思っても、「あなたが折れたら」と思っても、それを口に出すかどうかはまったく違います。お二人の両親は「結婚は二人のことだから、二人が決めればいい」と言ってくれているのです。

 僕は、「選択的夫婦別姓」がこの国で実現しないことが、不思議でしょうがないのです。

 2015年の閣議決定では、日本の現状に関する質問に対して「現在把握している限りにおいては、お尋ねの『法律で夫婦の姓を同姓とするように義務付けている国』は、我が国のほかには承知していない」と答えています。

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日本は世界で唯一の法律による「強制的夫婦同姓」の国