スタベッキさん。僕も、2021年6月の最高裁判決には失望しました。
現状の民法の「夫婦同姓」を違憲(憲法違反)としたのは、15人の裁判官のうち4人のみでした。
もうすぐ、衆議院選挙と共に、「最高裁判所裁判官国民審査」の投票も行われます。今回は11名の裁判官が国民審査を受けます。先に述べた最高裁判決で「夫婦同姓を義務づける民法等の規定」を「違憲」としたのは宇賀克也裁判官、草野耕一裁判官、三浦守裁判官の3名(宮崎裕子裁判官は残念ながら定年退官されたようです)、「合憲」としたのは深山卓也裁判官、林道晴裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の4名。このことをしっかり覚えておこうと僕は思っています(残りの4人は2021年6月の最高裁判決後に就任した裁判官です)。
ただし、合憲だとした多数意見も、「制度の在り方は、(中略)国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである」としています。
つまりは、国会に丸投げしているのです。最高裁判所が高度に政治的な案件に対して、よくやる方法です。
国会ということは、つまりは、国民ということです。
国連の勧告に対して日本政府は「法改正は国民の理解を得て行う必要がある」と弁明しました。
やっぱり、国民ということです。
さて、スタベッキさん。「夫婦同姓」の問題をいろいろと調べたスタベッキさんにとっては、すでに知っている情報を長々と並べたと思います。
いろいろ書いたのは、「選択的夫婦別姓」問題は、宗教的信念のある政治家が決めるのではなく、私達国民が決められる問題だということを伝えたかったからです。そして、「強制的夫婦同姓」の問題点を多くの人に知ってもらうことが重要なことだと思っているからです。それが、スタベッキさんの問題を根本的に解決することにつながるだろうと思っているのです。
日本で「選択的夫婦別姓」が実現しないのは、ほんの一部の宗教的信念の人をのぞけば、多くの人が「自分には関係のない話」だと思っているからだと僕は考えています。
関係ないと思った場合は、私達日本人は「波風が立たない結論」を選びがちです。僕が繰り返して書く「世間」の「所与性」です。変わることを嫌い、同じことを続けていくことが一番重要だと思ってしまう感覚です。