東京18区から出馬している菅直人氏(左)と長島昭久氏(C)朝日新聞社
東京18区から出馬している菅直人氏(左)と長島昭久氏(C)朝日新聞社
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 31日に投開票を迎える衆院選もいよいよ佳境に入った。激戦区が多い東京選挙区の中でも18区(府中市、小金井氏、武蔵野市)は「元上司と部下」の対決が注目を集める。同選挙区では、立憲民主党の菅直人元首相(75)に対して、かつて民主党で防衛大臣政務官として仕えた長島昭久氏=現・自民党=(59)が挑む構図となった。対決は熱を帯び、27日には、長島氏の街頭演説に岸田文雄首相が駆けつけたほか、ものまね芸人の姿も。激戦区の“舌戦”を取材した。

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「外交や安全保障に与党も野党もない。私はスキャンダルも一回も追及していない。言葉尻をとらえて批判するばかりの野党にうんざりし、私は決別いたしました!」

 27日午後、長島氏はJR吉祥寺駅北口でこう叫んだ。この日は岸田首相の応援演説があるとあって、200人以上の聴衆が詰めかけた。

 長島氏の選対関係者は「平日の日にこれだけ人が集まるというのは、多くの人の関心があるということ。チャレンジャーといえど、(菅氏と)接戦に持ち込めているので勝機はある」と手応えを語る。

 陣営がいうように、当選6回の長島氏も18区では「チャレンジャー」だ。

 長島氏は2003年の衆院選で東京21区から出馬し、初当選を果たした。当時は、菅氏と同じ民主党。09年の政権交代後は、鳩山内閣、菅内閣で防衛大臣政務官に就任し、12年には野田内閣で防衛副大臣に任命された。13年には民主党副幹事長になるなど要職を歴任したが、17年に民進党(当時)が共産党との共闘路線を取ったことに反発して離党。同年の総選挙では、希望の党から東京21区で出馬し当選した。翌年に希望の党が解散したことで、19年6月に自民党に入党したという経緯がある。

 だが、自民党に移ったことで東京21区では同党現職と競合する形となり、18区へ国替えすることになったのだ。

 こうした国替えに対し、迎え撃つ菅氏は憤りを隠さない。18日に開かれた青年会議所主催のオンライン公開討論会では「勝手に選挙区を変えるのは有権者への冒涜(ぼうとく)だ」と強い口調で糾弾。菅陣営の関係者も、「長島さんは裏切り者。よりによって、なぜここに。『ふざけんなバカヤロー』という思いです」と率直な思いを口にした。

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長島氏とコロッケさんの意外な関係