菅氏を応援する伸子夫人(撮影/飯塚大和)
菅氏を応援する伸子夫人(撮影/飯塚大和)

 一方の菅サイドも、若者へのアピールに力を入れる。昨年夏からツイッターで「#会いに行ける元総理」のハッシュタグを付けて投稿するなど、若者を意識した発信を続ける。陣営関係者は「若い人が足を止めてくれるようになった。SNSでの発信効果もあったのかもしれない」と話す。

 ただ、この日の演説では過剰に“若者ウケ”は狙わずに、自らが福島第一原発事故でとった対応を例に、危機対応能力を愚直にアピールした。18時すぎ、この日最後の演説地となった中河原駅前では、
 
自民党はコロナの危機に対してもきちんと対応できないために、感染者数が増えている」

 と政府のコロナ対応を批判。また、森友学園問題にも触れ、「トップによる不正がまかり通るような忖度の政治を、根本から変えようじゃありませんか」と呼びかけた。

 菅陣営の関係者は、大物の助っ人に依存する長島氏の戦い方に疑問を呈しつつ、人気では菅氏が勝ると強調する。

「コロッケさんと写真を撮りたい人はいても、長島さん一人の力では、誰も側に寄らない。でも、菅さんは違う。車を止めると人が寄ってくるんです」

 中河原駅前では聴衆に混じり、伸子夫人の姿もあった。菅氏の首相在任中は、その多弁ぶりから「和製ヒラリー」と評されたこともあったが、舌鋒の鋭さは健在だった。

「副大臣をやった経験をアピールしているけれど、知らない人は、自民党政権で副大臣までやったと思うでしょう」

 菅氏と伸子夫人は、長島氏の新人時代に支援をし、政界入りを後押しした立役者でもあるという。

「(初出馬で落選した)2000年の補選では、私も一緒に長島さんを連れて歩きましたよ。出馬するなら、菅さんや私のところまでちゃんと来て言えばいいのに、説明もあいさつも一切なし。びびっているのかもしれませんが、正々堂々と、真正面から戦ってほしい。政治の世界は仁義を切らなければだめ。あいさつもできないようでは、人の信頼を失うことにつながります」

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「他人から言われてやめるとは絶対に言わない」