AERA2022年11月14日号
AERA2022年11月14日号

――ショーの演出、映像、振り付け、衣装、各界のプロが集まり、それをまとめていく。前回を超える内容にするために、試行錯誤した。

浅田:誰もやったことのないアイスショーをやりたいとずっと思っていました。LEDの大きなスクリーンを使った演出、自分のパフォーマンスを現役時代以上にレベルの高いものにする、ペアのプログラム、滑る量を増やす、衣装も華やかに……。お客さんに楽しんでもらうという視点で、ショーとしての完成度を磨いていくことを心がけました。

■映像とショーを融合

――たくさんのアイデアの中でも、LEDを使ったスクリーンはアイスショー初の試みだ。

浅田:通常、スポンサーさんの看板をリンクを囲むように配置するのですが、ショー中にそれが見えるとどうしても現実感が出てしまう。一つの舞台という世界観を創りたかったので、ショーが始まるまではロゴが見えていて、始まったら映像に変えられるものを、ということからLEDのアイデアが生まれました。

繊細な表現も徹底的に練習。「競技のレベルが上がるのと同じように、私たちも限界を作らず高みを目指しています」(photo 写真映像部・馬場岳人)
繊細な表現も徹底的に練習。「競技のレベルが上がるのと同じように、私たちも限界を作らず高みを目指しています」(photo 写真映像部・馬場岳人)

――リンク全体の足元に小型LED画面を配置し、バックには巨大なLEDのスクリーンを置く。360度に多彩な映像が広がることで、ヨーロッパの田舎町、ニューヨークの街角、山、湖と、多彩な世界の表現が可能になった。スケーターにとっては、技量を求められる演出でもあった。

浅田:スケーターが通った跡に、花が残像のように散ったり、止まった所に花がパッと咲いたりする映像がプログラミングされているので、私たちの動きが少しでもズレると、映像とズレてしまいます。これまでシングルで滑ってきたスケーターにとっては、正確に合わせる動きを身につけるのは大変で、とにかくたくさん練習しました。

 みんなで滑るとそれだけパワーもあるし、アイコンタクトしながら練習したり、練習でどれだけ息が合っていたかも感じます。サンクスツアーの時からレベルが上がったと思うし、私たちも限界を作らずにやっていけるんだなと改めて感じました。

――使用曲は、サンクスツアーでは使わなかった現役時代の曲を再編集。小学生時代に滑ったジャズ「Say Hey Kid」など懐かしいナンバーもちりばめた。

浅田:小学生の時は「すごく可愛い曲」と思っていたのが、今聞くと大人っぽくてお洒落なジャズでした。曲の深さも理解できるようになった今、新たな発見もあって演じています。

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