「医学部や看護学部といった代表的な学部だけでなく、薬学部の人気も高まりました。薬学部には薬剤師の養成を目的とした6年制と、薬の開発・研究を目的とした4年制の二つがあります。将来的にワクチン開発にも携われると、近年あまり注目されていなかった4年制学部にも人気が集まりました」(谷本さん)
こうした傾向は、来年の入試にも引き継がれるのだろうか。
近藤さんは言う。
「来年の18歳人口は、前年より2万人ほど減ります。一方で、私大では32の大学が定員を増やし、大学や学部新設に伴う定員増も加わって、全体としては約3千人近く増える見込みです。理論上は『全入』時代が到来したと言えるでしょう。入試の方式も多様化し、受験生にとっては今年以上にチャンスが広がります」
10月7日、来年1月に行われる共通テストの出願数が公表された。出願総数は前年比98%の50万1981人。目を引くのは浪人生が減ったことだ。一昨年のセンター試験で浪人生の出願者は約9万2千人いたが、来年は6万8490人。この間、2万4千人近く減った計算になる。
背景について谷本さんは、「今年は共通テスト初年度でしたが、センター試験からの切り替えにあたり、浪人生向けに別の問題を作る『移行措置』は行われませんでした。このため前年の試験で現役合格を目指す受験生が増え、その後は浪人生が大幅に減ることになりました。今後もこの傾向は続くと見られます」と解説する。
(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2021年11月12日号より抜粋