目がしょぼしょぼして点眼薬を差すときも注意が必要だ(撮影/写真部・張溢文)
目がしょぼしょぼして点眼薬を差すときも注意が必要だ(撮影/写真部・張溢文)

 スマホはパソコンなどと比べて画面と目の距離が近くなるので近距離にピントを合わせる必要があるほか、文字が小さい分、画面を凝視するので毛様体筋が緊張しやすい。「歩きスマホ」や電車内など動きがある環境での使用や、寝転がって画面を見ることも負担が大きい。動きの激しいゲームはさらに負担がかかる。ゲームや移動中のスマホ使用を控え、作業の一部をパソコンなどに代替するだけで負担はだいぶ軽減される。

 スマホ老眼自体は一時的な調節不全で、そのまま本当の老眼に移行する心配はないという。目を休ませれば多くの場合は回復する。ただし、繰り返すことが心身の健康にも影響する。

「スマホ老眼のような症状を繰り返すと眼精疲労を起こし、頭痛やめまいにつながります。自律神経に異常をきたし、精神的にも不調が出る。症状を感じたら目を休ませ、リセットすることが大切です」(荒井医師)

 デジタルデバイスの使用時間の増加は子どもの目への影響も懸念される。

 今年7月に公表された2020年度の学校保健統計調査は、小児眼科関係者らの危機感を強くした。同調査では裸眼視力が1.0に満たない小学生の割合が37.5%、中学生が58.3%といずれも過去最多を記録。特に小学生は前年比3ポイント増と高い伸びを示した。

 国立成育医療研究センター眼科診療部長の仁科幸子医師(小児眼科学)はこう懸念する。

「デジタルネイティブ世代になり、近視の子の増加は予想されていましたが、コロナ禍による休校などで家にいる時間が長くなり、より加速した印象です」

■内斜視で手術のケース

 北海道の小学校で教員を務める男性も児童の近視の実態をこう語る。男性は19年度に5年生、20年度に持ち上がりで6年生の担任を務めた。

「5年生のときクラスで裸眼視力1.0未満の子は4割程度、眼鏡をかけている子は6~7人でしたが、卒業時には眼鏡の子が12人になっていた。視力1.0未満の子も増えましたが、近視気味の子の視力が一気に落ちた印象です。これほど一気に増えたことは記憶にありません」

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