
42歳での電撃結婚。伝説の高齢出産から4年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は家族で訪れた京都太秦映画村での我が子の意外な反応についてお届けします。
【大好きな「忍者」を満喫し幸せそうな我が子…唐橋充さんのイラストはこちら】
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週末、出張中の夫を訪ねて、子連れで京都に滞在した。最近「忍者」にハマっている我が子を映画村に連れて行くのが目的だ。
京都太秦にある映画村は、撮影所に隣接するテーマパーク。
敷地内には江戸の町のオープンセットがあり、時代物のドラマや映画の撮影にも使われる。昭和レトロな街並みのオープンセットもあり、私は2019年から2020年にかけて放送された朝ドラ「スカーレット」のロケでお世話になったばかり。
施設内に足を踏み入れる機会は多々あったものの、こうして家族で改めて、施設に遊びに来るのは初めてだ。
思えばこの施設内を私服で散策するのは初めてだ。これまでここに来る時はいつも役の扮装で来ていた訳だから。そうなると気持ちも仕事モードで、常に緊張していた。
しかしお天気にも恵まれてこうしてリラックスして散策する映画村は実にのんびりしていて、楽しい。「忍者がいるよ」と聞いて来ている我が子は隣で目を爛々と輝かせている。
「みて!!」と我が子が指差す先には早速、忍者の格好をしたスタッフが。
さすが東映。スタッフの衣装がちゃんと本格的。なんちゃって忍者ではない。
興奮する我が子。
そして私の方に顔を寄せて、耳元で「ばれちゃってるね」と小声で一言。
忍者というのは隠れているものだ、と教えたものだから、見えるところにいる忍者は「ばれちゃってる忍者」というのが我が子の認識だ。
広大な施設内にはたくさんのアトラクションが。お化け屋敷やトリックアートの館、忍者ショーが見られる劇場、迷路。常設のものから特設のものまで様々ある。
我々が真っ先に向かったのは「からくり忍者屋敷」。忍者になった気分で様々なからくりを見破って突破して進むアトラクションだ。
ここでも忍者姿のスタッフが案内してくれて、まずは低天井や床の間、扉のからくりをいくつか説明してくれる。
回転する扉、押すと開く壁。掛け軸のうしろの抜け穴。
楽しい仕掛けがいっぱいだが、ふと、これらは昔、殿様を守るために大真面目に開発されたものなんだよなあ、と思うと不思議な気持ちになった。