帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
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 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「『時空』という気功」。

*  *  *

【虚空】ポイント
(1)20年ほど前、私は「時空」という気功を考案した
(2)「虚空と一体になる」ための気功を作りたかった
(3)「虚空と一体になる」とは生と死を超越すること

「時空」という気功があります。実はこれは私が考案したものなのです。20年ほど前の正月休みに、一人で杯を傾けながら作りました。当時、病院の道場で行っていた「簡化外丹功」「宮廷21式呼吸健康法」「調和道丹田呼吸法」「智能功」という四つの気功から、ふさわしい動きを選んで構成しました。これまで様々な機会に繰り返し紹介してきましたので、今ではすっかり定着しました。うれしい限りです。

 私がこの「時空」を考案したのは、養生の真髄である「虚空と一体になる」ことを目指して行う気功が必要だと考えたからです。

 虚空と一体になれと説いたのは、臨済宗の中興の祖である白隠禅師です。

 座禅は間違った方法で行うと、禅病とよばれる精神の異変を引き起こすことがあります。そこから抜けられないと死に至ることもあるのです。禅師は修行中の若い僧侶たちを禅病から救い出すために「内観の法」という呼吸法を編み出しました。この効果は画期的だったようです。しかし禅師はさらにこう言います。

「弟子たちよ。病が全快したからといって満足してはならない。治ったら、ますます参禅に励みなさい。そしていつの日か生きながらにして、虚空と一体になることだ」

 このうち「虚空と一体になる」の部分は原文では「虚空に先つて死せず、虚空に後れて生ぜざる底の不退堅固の眞法身」と表現されています。虚空より早く死ぬのではなく、虚空より遅く生まれるのではない、というのですから、つまり一体になることなのだと、私は解釈しています。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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