代表のエースになりつつある鎌田大地
代表のエースになりつつある鎌田大地

 こうした選手選考になったのは、新たに代表の主軸に上り詰めた選手の存在があると両氏は指摘する。

「鎌田(大地)選手中心の戦い方をするということでしょう。ボールを保持できてパスも出せる鎌田選手は、敵陣の裏に向かって走る選手と相性がいい」(栗原さん)

 鎌田は今季絶好調で、所属する独フランクフルトでは主力を務める。欧州最強チームを決めるチャンピオンズリーグでもゴールを重ね、代表でもエースの座を手中に収めつつある。

週刊朝日 2022年11月18日号より
週刊朝日 2022年11月18日号より

 森保監督はこれまで、FWの軸を誰にするかさまざまに探ってきたが、どれも決め手に欠けた。FWの後ろに陣取るいわゆる2列目のMFの選手は、鎌田含め、伊東純也、久保建英、三笘薫らが好調で、代表での結果も出ている。

「2列目に計算が立つだけに、前線の選手がどれだけ仕事ができるか。得点はもちろん、前線からのハイプレスを試合を通して継続できるか。この成否がGL突破の鍵になると思います」(六川さん)

 森保監督の手腕にも不安は残る。まずは短期決戦への適性だ。これまでの監督実績で言えば、広島時代にリーグ戦は制しているが、カップ戦には勝ったことがない。

「つまり、長期のマネジメントに長けている監督なんです。これは選手を信じて使い続けるという選手選考にも表れている。W杯という短期決戦においては、だめだと思ったらすぱっと選手を切り替える非情さも必要になるが、そうした姿勢はこれまでなかった」(栗原さん)

 今大会は試合中の交代枠が3人から5人へと変更されているだけに監督采配にも注目したい。

 GLの星勘定は「1分け2敗が現実的」「よくて1勝2敗」という評価が多いようだが、GL突破に向けどう戦うか。栗原さんは「国名だけを見て恐れる必要はない」と力説する。

「ドイツは14年のブラジル大会は優勝しましたが、前回のロシア大会(18年)はGL敗退。スペインは南アフリカ大会(10年)、08年と12年の欧州選手権を制した黄金時代の選手たちがほぼ代表に残っていない。どちらも世代交代の過渡期にあり、付け入る隙はあります」

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