彼女の中でどんな変化があったのでしょうか。
「家事も仕事もすぐやる習慣が身につきました。時間通りにやれるからゆっくりする時間の罪悪感がなくなりました。先にやる気持ちよさがわかったので継続できています」
小さい机はやめて、落ち着くダイニングで仕事。集中できて、「夜行性だと思っていた」日々は一変。早く寝る生活が訪れたのです。「1日が48時間やったらええのに」が口癖だったのが今は、時間が増えたように感じるそうです。
変わったのは彼女だけではありません。娘にも、奇跡が起きました。
「どれだけ床に物を置くなと言っても翌朝には脱ぎ散らかして学校へ行き、脱ぎ散らかして部活へ行き、脱ぎ散らかして寝ていたんです。それが今は、荷物、靴下、ペットボトル、娘の部屋の床には何もないんです」
娘はプロジェクト中にお母さんと自室を片づけました。ビフォーアフターの写真を見たとき娘は何かを感じたみたい。
「これまで朝はギリギリに起きて、ぶすーっとして朝食を食べて、聞こえるか聞こえないかの声で『いってきます』とつぶやいて家を出るのが日課でした。それがある朝、『行ってきまーす!』って大きな声で家を出たんです」
その日娘から来たメッセージには「もう脱ぎ散らかさない 変わろうと思う」とありました。娘は片づけられた自分が誇らしかったのです。難しいはずの思春期、母と娘の関係は今が一番良いそうです。
正体不明のイライラを乗り越えた彼女は、新しい自分に出会えたと言います。
「あかんと思うけどイライラの時代は、夫が『腰が痛い』と言うときに、大丈夫?って言えなかったんです。大丈夫で治ったら病院なんかいらんと。でもある時ふつうに大丈夫?って言葉が出て自分が一番驚きました」
“鬼嫁”は本当の自分じゃなかった。脱皮できたと言う彼女は、これからが楽しみだと感謝の気持ち伝えてくれました。
◯西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・夫婦間のコミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト®」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。ラジオ大阪「西崎彩智の家庭力アッププロジェクト」(第1・3土曜日夕方)が2021年5月1日からスタート。フジテレビ「ノンストップ」などのメディアにも出演
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