5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。
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case.13 家族関係は動線を意識するとうまくいく
(夫+子ども2人/教育関係)
「夫には笑いながらですけど『結婚詐欺やな』と言われていました。ふだんの私とイライラが爆発した私が違いすぎて、もっと穏やかな女性がよかったって。そうは言うけど自分はこういう人間やし、ほんまに仕方ないと思っていたんです」
関西の若い夫婦らしい冗談まじりのやりとりをテンポよく話す彼女は、2人の子どものお母さん。若い学生に専門技術を教える仕事熱心な女性です。
家を片づける前をこう振り返ります。
「コロナで撮影や資料づくりといった家での仕事が増えました。リビングに小さい机を出して仕事をしはじめたらますます散らかりました」
折しも外出が制限され、大型の不用品や洋服を売りに行くこともままならず、家に不要な物や資料がたまっていきました。
家族との関係はどんなだったか聞くと、
「夫は家事と子育てに協力的で最高です。ただ多少の散らかりは気にしない人。高校生の娘は散らかしの天才。仲は悪くないけど反抗期なので片づけをめぐる衝突もよくありました」
家族も片づけが苦手。だから結局は自分が片づける。片づけたところでリバウンド。そのループから抜けられず、心中はつねに穏やかではなかったそうです。
「家族で楽しく会話していても、仕事や用事を思い出すと切羽詰まってくるんです。イライラしたあげく『部屋が汚い!』って当たり散らしてました。急に雰囲気が悪くなってみんながリビングから散って終了。リビングにあるのはほとんど私の物なんですけどね」
裏には、あれもこれもやらねばと追われながら、行動できないジレンマがありました。何もしていないのに「やっている感」だけ出す罪悪感も。家族が起きている時間はなぜか仕事に手がつかず、深夜から動き、寝不足で翌朝仕事へ行く日もあったとか。