「がんが再発しても治療はしない、最期まで自宅で過ごすと決めて、主治医に事前指示書を渡すなどの準備をしていました。遺産は自分が支持する団体に遺贈するよう遺言書を残し、まだ元気なうちに海外旅行に出かけるなどの願いもかなえられました。満点の終活だったと思います」

 そう語るのは、C子さんを看取ったファイナンシャルプランナーで終活アドバイザーの山田静江さん。

 C子さんは別の業者に入院時の身元保証人、葬式の手配、死後の手続きなどを委託していたが、その業者が事業を続けられないようだと心配し、山田さんに相談してきた。

◆自分の要望をまず整理しよう

「生前契約は数十年も先かもしれない終末期のために準備をして、高額な預託金を預けなければならない場合もあるので、その事業者に安心して託せるのかがポイントになってきます。過去には身元保証会社が経営破綻したことが問題になりました。契約前に複数の業者の話を聞いてみて、納得するまで何度も会ってみてから決めることをお勧めします」(山田さん)

 消費者庁からは、高齢者のサポートサービスを利用する時のチェックリストが出ているので、活用したい。

(週刊朝日2021年12月10日号より)
(週刊朝日2021年12月10日号より)

 最晩年の不安は誰でも持っている。高齢者サポートサービスを契約する前に、まず自分の要望を整理してみよう。

 また、業者によってサービス内容や支払い方法は異なる。死後整理にかかる費用や報酬については、あらかじめ預託しておく方法もあれば、死後に遺言執行者や相続人に請求する方法もある。見守りサポートを依頼すれば、毎月一定額を支払うことになるのが一般的だ。

 実際にかかる費用を確認して、自分の収入と貯蓄額をふまえて、支払えるかどうかを判断する必要がある。

「会社を退職して時間ができた時が終活をゆっくり考えるいいタイミングです。元々おひとりさまの人だけでなく、現在、ご夫婦で暮らしている人も、伴侶に先立たれたらおひとりさまになります。終活の準備はやることの範囲が広すぎて、何から手をつけたらいいのかわからない、という人は、病気やけがで入院した時に、身元保証人になったり、治療の同意書にサインしたりしてもらえる人がいるのか。そこから考えてみましょう」(同)

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