万一の時を想定して、自分の状況や、頼れる人・連絡してもらいたい人、治療に対する考えなどをエンディングノートに書きながら、頭の中を整理していくといいという。

 次に「認知症など判断能力が衰えた時」に、どのようにお金の管理をしてもらうか考えておくといい。任意後見制度など、いざという時、財産管理などで頼れる方法を調べておいて、心身ともに本格的に高齢期に突入すると言われる75歳、遅くても80歳までには、任意後見契約を結んでおくなど、具体的な準備を始めるといいだろう。

 住まいについても考えておきたい。75~80歳くらいが住まいのターニングポイントで、この時点で、将来身の回りの世話を頼める人がいないのであれば、見守りサービスが付いた有料老人ホームなどの高齢者住宅への「住み替え」を考えたい。

◆個人ではなく組織を選ぶこと

「住み替えにあたっては、荷物を減らす必要があるので、不用品を処分せざるを得ません。このタイミングで処分しておくと、亡くなった後に遺品整理が楽になります」(同)

 また、多くの人が悩む点は、自分の「終末期の医療」のあり方について。回復する見込みがない患者の生命を維持、延長させるために人工呼吸器や、点滴や胃ろうなどによる栄養補給を行う延命治療を、本人が望んでいない場合には、医師や家族などに伝えておく必要がある。延命治療を受けないで死を迎えることを「尊厳死」ともいう。

 延命治療などを望まない時は、主治医などに「(治療方針の)事前指示書」などで伝えておくといい。「尊厳死宣言書」を作成したり、公証役場で「尊厳死宣言公正証書」として認証してもらったりする方法もある。

 終末期の希望などは、「わたしの願い」を参考に書いてみよう。まだ<なんともいえない><書く気持ちはない>という気持ちも大事にして、少しずつ気持ちを整理していこう。

(週刊朝日2021年12月10日号より)
(週刊朝日2021年12月10日号より)

 C子さんは、認知症になった時に備えて山田さんの会社と、財産管理等委任契約(見守り含む)と、任意後見契約、死後事務委任契約を3点セットで契約していたが、任意後見契約は発効する必要がないまま旅立った。

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