※写真はイメージです (GettyImages)
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“おひとりさま”は、元気なうちは自由気ままでいいが、問題は高齢になってから。家族がいない場合などは、入院した時の身元保証人や、お迎えがきた時の看取り、死んだ後の手続きは誰がやるのか──。不安は尽きないが、元気なうちに準備できる方法がある。

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 近年、平均寿命が延びて、長生きの高齢者は増えているが、老親を看取る前に子どものほうが先立つケースもある。

 神奈川県の一軒家に住むB男さん(60代後半・当時)の心配の種は、兵庫県内の特養で暮らす90代(当時)の母のこと。

 B男さんはバツイチで子どもはおらず、かつ一人っ子なので頼れる親族がいなかった。一流企業を65歳で退職した後、週3回テニスを楽しむなど趣味をエンジョイしていた。そんななか、食道がんが見つかった。

「手術の後、自宅に戻ったのですが、余命半年の宣告を受けたのでお母様の分も“尊厳信託”を契約してほしいとのご希望でした。B男さんはすでに尊厳信託の契約を交わしていました。退院後、自宅で療養しながら、24時間訪問看護を受けようとした矢先にB男さんの体調が急変してお亡くなりになりました」

 そう語るのは、『家族に頼らない おひとりさまの終活~あなたの尊厳を託しませんか』(ビジネス教育出版社)の共著者で、OAGライフサポート代表取締役の太田垣章子さん。“尊厳信託”はエンディング期に託すことを事前に決めておく、オーダーメイドサービスだ。

 葬儀や死後の手続き後、B男さんの最期の様子を聞いたB男さんの母は、「このまま特養に住み続けるためには、亡くなったB男さんに代わって、新たに身元保証人が必要になる」ことを理解して“尊厳信託”を契約した。

 それから約1年後に母は旅立ったという。

 昨年5月、がんで亡くなったC子さん(70代前半)は、20年以上前から終活の準備にかかっていたという。40代後半でがんにかかり、再発した時に備えて最期を託せる業者を探し続けた。

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