ヤクルトの20年ぶり6度目の日本一で幕を閉じた今年のプロ野球。セ・パ両リーグとも前年最下位のチームが優勝を果たすシーズンとなったが、今回は現場の最高責任者である監督の手腕についてスポットライトを当ててみたいと思う。以下はセ・リーグ編。※評価はA~Dの4段階/パ・リーグ編に続く
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高津臣吾監督(ヤクルト) 評価:A
見事20年ぶりの日本一を達成。山田哲人、小川泰弘、石山泰稚が揃って残留となり、サンタナ、オスナなど外国人選手の積極的な補強が奏功したが、高津監督の手腕も大きかったことは間違いない。まず見事だったのが投手陣の立て直しだ。リリーフでは石山が不調と見るやマクガフを抑えに配置転換し、近藤弘樹、今野龍太など他球団を戦力外になった選手を上手く活用。先発では2年目の奥川恭伸をローテーションの間隔を広めにとりながら起用し、エース格へと成長させた。一つ気になったのはリリーフ陣の勤続疲労だ。清水昇、マクガフ、今野が60試合以上に登板しており、その反動が来ることも考えられる。今年の近藤のように新たな戦力発掘ができるかが、来季の大きなカギとなりそうだ。
矢野燿大監督(阪神) 評価:B
開幕から首位を走りながら、ヤクルトとのデッドヒートに敗れて昨年に続いての2位に終わった。それでも投手では伊藤将司、ガンケル、及川雅貴、野手では佐藤輝明、中野拓夢などが新たな戦力となり、チーム全体は上昇ムードが漂っていることも確かである。若手を抜擢しながら優勝争いに加わったという点は十分に評価できるだろう。一方で気になるのは少し偏りが感じられる選手起用だ。捕手では数字的には目立たない坂本誠志郎を重用し、外国人選手もサンズを見切るのが早いように感じられた。また、ここ数年の課題と言われている守備難に対しても中野の抜擢以外は今のところ有効な手を打つことができていない。来季は絶対的守護神だったスアレスも抜けるだけに、あらゆる面で戦力の見直しが必要なシーズンとなるだろう。