(週刊朝日2021年12月17日号より)

 国交省の別の資料によれば、入居者が大規模な修理や改修に備えて払う1戸あたりの月平均修繕積立金は、2018年度時点で1万1243円。20年前に比べると5割増しの水準だ。

 さらに、古いマンションほど住む人の年齢が高い傾向がある。18年度時点で、1990年代に建てられたマンションの居住者の半数が60歳以上だった。79年以前のマンションでは、住民の47.2%が70歳以上だ。

「老いたマンション」は人気も低くなりがちで、空室もできやすい。

 高齢の入居者や空室が増えれば、管理の担い手は減る。また、高齢の居住者は収入が限られる場合も少なくない。修理や、管理会社への管理委託費や修繕積立金といった分担金の値上げを迫られても、簡単に応じられないケースもある。

 国交省の調べでは、計画している修繕積立金の額に達していない「積み立て不足」の管理組合は34.8%あり、もともと、多くの組合で財政事情にさして余裕がないのが現状だ。

(週刊朝日2021年12月17日号より)

 管理の担い手や資金が足りず、老朽化し、管理も行き届かないマンションが増え続ければ、土地の有効活用は進まない。安全や治安の面で不安も出てくる。そうなれば入居者のみならず、地域全体の課題だ。(本誌・池田正史)

>>【後編:管理丸投げはNG 新制度始まるも“マンションのスラム化”は増加?】に続く

※「老いるマンション」についての悩みや、知りたい情報を週刊朝日(wa@asahi.com)までお寄せください。

週刊朝日  2021年12月17日号より抜粋

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