「マンションの管理状態に関する情報が、誰でも、手軽にわかるようにしたい」
来年4月に新しくできる「マンション管理適正評価制度」の狙いについて、制度を運営する管理会社の業界団体「マンション管理業協会」業務部の前島英輝次長は、こう意気込む。
この制度は、申請のあったマンションの管理状態を100点満点で採点する仕組みだ。
管理組合の運営や財政状況のほか、エレベーターや排水設備といった建物や設備の維持・管理体制、耐震診断の実施状況、緊急時の対応体制や防災訓練の実施状況など、5分野30項目前後について、それぞれ点をつける。
その合計点が、100点満点中90点以上ならば最高位の「S」ランク、70~89点ならAランクといった具合に、SからDまで5段階で評価する。
評価するのは、協会が指定した講習を修了した「管理業務主任者」や「マンション管理士」。いずれも、マンション管理に関する国家資格だ。制度のスタートに向け、これらの資格を持つ人を対象とした講習が来年2月ごろに始まる予定だ。細かな評価項目や基準についても、最終的な詰めの作業を急いでいる。
結果は、新設の専用サイトで一般向けに公開する。既存の不動産取引のポータルサイトとリンクし、物件の紹介ページで評価結果が見られるような仕組みを設けることも検討している。
先の前島次長は言う。
「初年度は全国のマンションの2割にあたる2万4千棟で実施を目指しています。最終的には、マンションがどう管理されているかが、取引の際に大事な判断材料になるような環境を整えたい」
マンションの管理状態は契約時の重要事項説明に含まれ、誰もが目にする機会はあるものの、物件選びの際には部屋の広さや価格、立地、築年数といった条件が重視され、印象が薄いのが現状だ。国も、マンション管理業協会と同じタイミングで、「マンション管理計画認定制度」を始める。やはりマンションの管理状態を審査する仕組みだ。