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 マンションの管理状態を「見える化」する「マンション管理計画認定制度」と「マンション管理適正評価制度」が来春、相次いで始まる。価格や立地、間取りなどに比べ影が薄かった「管理」に、より注目が集まりそうだ。

【マンションの管理状態を審査・評価する新制度はこちら】

>>【前編:増加する「老いたマンション」 35%は管理費の積み立て不足も】から続く

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 新制度は、どれだけの効果が期待できるのだろうか。国や協会の制度に先立ち、19年からマンションの「管理力」を独自評価する取り組みを進めてきた不動産コンサルティング会社、さくら事務所(東京都渋谷区)の土屋輝之さんはこう指摘する。

「どちらの制度も、管理のレベルやマンション自体の価値向上につながるとして期待しています。ただし、いずれも課題は強制力がないこと。自発性に任せる仕組みでは、スラム化する恐れがあるような管理不全のマンションが積極的に参加するとは思えません。全体的な水準を底上げしたいのなら、本来はそういうところにこそ、参加してもらう必要があるはず。そのため、高評価が得られたマンションには助成金を出したり、税金を優遇したりするといった『アメ』となる施策も必要ではないでしょうか」

 管理状態の悪いマンションにとっては、不利な情報が明らかになるばかりなら、参加に尻ごみするだけだ。売値や金融機関との取引に響くなら、なおさらだろう。

◆管理レベル高め 他人任せしない

 そこでマンション管理業協会は、評価結果に応じ、管理組合が加入する損害保険料を割り引いたり、マンション共用部分のリフォーム向け融資金利を優遇したり、といった仕組みを検討している。

 国も、認定を得たマンションに対しては、住宅金融支援機構の長期固定金利の住宅ローン「フラット35」で融資金利を下げる、といった優遇策を検討している。

 マンション管理について相談を受け付ける一般社団法人「日本マンションサポート協会」(同千代田区)代表理事の川島崇浩さんは、新制度について「管理会社の底上げを図る面もあるのでは」と指摘する。

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