アメリカで生まれ、L.A仕込みの英語と歌唱力で「バイリンガルのアーティスト」として知られるAI。しかし実は3歳で日本に移住しているため、英語力は努力で身につけた部分が多いという。幼少期は日本語も英語も「うまく話せなかった」記憶のある彼女に、言葉と向き合って生きてきたこれまでの人生を語ってもらった。
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昭和、平成、令和にかけて、祖母、母、娘の3世代の女性の人生を描くNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(主演/上白石萌音、深津絵里、川栄李奈)。夫を戦争で亡くし、娘とともに力強く生きる主人公・安子(上白石萌音)の姿が“毎朝、号泣してしまいメイクができない”と評判を集めているこのドラマの軸になっているのが、ラジオ英語講座。ラジオを通して英語を学ぶことで少しずつ自分の世界を広げる主人公たちの生き方もまた、この物語の魅力だ。
このドラマの主題歌「アルデバラン」(作詞・作曲/森山直太朗)を歌うAIもまた、英語を習得することで、自らのキャリアを切り開いてきたアーティストだ。
■日本語を話すのに苦労した幼少時代
日本人の父、イタリア系アメリカ人の母のもと、1981年にアメリカ・ロサンゼルスで生まれたAI。3歳で鹿児島に移住したときは、ほとんど日本語が話せなかったという。
「母いわく、5歳くらいまで英語を話していたみたいです。同じマンションの女の子に“この子、日本語がわからないの”と言われたことを覚えてるし、思うように話せるようになるまでには時間がかかりましたね。小学生になって少しずつ日本語を覚えてからは、日本語を話せなかった母との会話は英語、学校では日本語の生活。でも、人の前で英語を話すのが恥ずかしくて、『Where are you going?』と母親に質問されても、『公園。すぐ帰るよ』とあえて日本語で答えたりしていました」
中学生になると、英語の発音の良さがコンプレックスになったという。当時の鹿児島は外国人が少なく、ネイティブに近い発音で英語を話せる彼女はどうしても目立ってしまったのだ。