結局のところ、オミクロン株の重症度や感染力はデルタ株より強いのかどうか、そしてワクチンは効果があるのかどうか、ということが今の最大の関心かと思いますが、米国政府のファウチ(Anthony Fauci)首席医療顧問は12月7日、新型コロナウイルスの変異株・オミクロン株の重症度について「デルタ株よりも重篤でないことはほぼ確実だ」と述べました。一方、感染力については「明らかに強い」とし、現在主流となっているデルタ株を上回る可能性が高いと指摘しています。

 12月10日にはイギリスの保健衛生当局より、新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種によるオミクロン株への効果についての分析結果が発表されました。それによると、オミクロン株に感染した581人の症例と、デルタ株の症例を比較したところ、米ファイザー製や英アストラゼネカ製のワクチンを2回接種した場合、オミクロン株ではデルタ株に比べて有効性が大幅に低下したが、追加接種を受けるとオミクロン株の感染による発症を70%から75%抑制できるといいます。これは、初期の分析のため慎重な解釈が必要であるとした上で、「追加接種を強く推奨する」と英国の保健衛生当局は強調しています。また、イギリスのジョンソン首相は12日の夜、急遽演説を行い、ワクチンの追加接種を加速させ、年末までに18歳以上のすべての対象者に3回目接種を提供することを国民に説明しました。

 日本はどうでしょう。岸田首相が12月6日の所信表明演説で、追加接種の時期を「(2回目の接種から6カ月後に)できる限り前倒しする」と明言したものの、厚生労働大臣はワクチン供給の点から一律に短縮するのは困難だという認識を示しています。オミクロンの出現を受け、多くの国で3回目の接種が加速して進んでいます。日本が大幅に遅れているのは、もう間違いありません。私自身、すでに2回目の接種から6カ月以上経過していますが、追加接種がいつになるか、わかっていません。

 満員電車に乗るたびに、オミクロン株が8月のように大流行してしまうのも時間の問題かもしれない、と感じています。私の取り越し苦労でないことを願っています。

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

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