山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
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 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「オミクロン株の実態」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

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 2021年11月8日、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が最初に報告されてから1カ月が経過しました。渡航制限が再び強化されるなど、各国が水際対策に乗り出したものの、あっという間に感染は世界に拡大。12月7日時点ですでに日本を含めた57か国から感染例が報告され、イギリスやシンガポール、アメリカや韓国などでは、「オミクロン株」の市中感染が広がっている可能性も指摘されています。

 世界保健機関(WHO)は11月26日、オミクロン株を最も警戒レベルが高い「懸念される変異型(VOC)」に分類。28日には、米政府のファウチ首席医療顧問がバイデン大統領にオミクロン株の正体をつかむのに、およそ2週間かかると伝えられた。そう報じられた通り、今も感染力やワクチンの効果などを含むオミクロン株の正体の解明が全力で行われている最中ですが、オミクロン株が初めて報告された南アフリカからの報告を中心に、この変異株の正体が次第に明らかになってきているようです。

 南アフリカの国立公衆衛生研究所(NICD)による新型コロナウイルスの感染状況の報告によると、12月11日の新規感染者数は1万7,154人で、陽性率は16.4%、COVID-19関連死亡数はわずか36人でした。オミクロン株が主流となり、急速に感染が拡大している南アフリカの状況を受け、パーツァ保健相は新型コロナウイルスのオミクロン株によって感染者が急増している状況を「第4波」に入ったと説明しています。

 南アフリカ医学研究会議(SAMRC)のエイズ・結核研究室のディレクターを務めるFareed Abdullah博士は、オミクロン株の感染の出どころとされているハウテン州ツワネ地区にある施設におけるオミクロン株感染の初期の状況について報告しました。

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オミクロン株では重篤な病気が比較的少ないとの意見も