ポスト北京五輪のフィギュアスケート世界大会・グランプリ(GP)シリーズが開幕する。男子シングルは宇野昌磨選手、鍵山優真選手に続く「第3の男」争いが熾烈だが、女子シングルやアイスダンスも熱い。AERA 2022年10月10-17日合併号の記事を紹介する。
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男子に続き、女子も日本勢がグランプリ(GP)シリーズ全戦で表彰台に乗りそうな勢いだ。昨季は北京五輪銅メダル、世界選手権優勝と大活躍した坂本花織(22)=スケートアメリカ、NHK杯=が、安定したジャンプ力とスピード感あふれる滑りで頂点を目指す。
ここ5年タッグを組んできた振付師ブノワ・リショー氏から離れ、新しい持ち味を模索するシーズン。SPはジャネット・ジャクソンメドレーで、フリーは大人びた女性を演じる「エラスティック・ハート」だ。
「ショートはとにかく踊る。フリーは強く生き延びていく女性のイメージです。今までにない自分を見せたいと思います」
■紀平は復活を目指す
右足首の疲労骨折で昨季は休養していた紀平梨花(20)=スケートカナダ、フィンランド大会=は、復活を目指す。もとはトリプルアクセル(3回転半)も4回転サルコーも持つ、日本のエースだ。
昨年6月から右足首に痛みがあり、練習と休養を繰り返す中でけがを悪化させてしまった。北京五輪代表選考会となる昨季の全日本選手権を欠場したものの、基礎スケーティングは強化を続けてきた。今年5月から4カ月間は氷に乗らずに治療に努め、骨折はひどかった時期の5分の1程度にまで回復。9月には525日ぶりの公式戦となる中部ブロックに出場した。
「まずは痛みが出ないトレーニングをして、スケートカナダにはもっと良い状態で挑みたいです。完治させたら(復調は)早いという自信はあります」
北京五輪でトリプルアクセルを降りた樋口新葉(ひぐちわかば・21)=スケートカナダ、NHK杯=はその後、右すねの疲労骨折が判明し、4月以降のリハビリを経てシーズンインとなる。
「4月から6月下旬までは氷から離れ、マイペースにジャンプを取り戻しているところです。去年の自分を超えたいという気持ちがあるので、全日本選手権での優勝を狙う覚悟でやっていきたいです」
北京五輪に出場した河辺愛菜(かわべまな・17)=フランス杯、フィンランド大会=は名古屋を拠点にする樋口美穂子コーチのもとに移り、心機一転となる。フランス杯までには、トリプルアクセルを取り戻していく計画だ。