結果、我が家の食品棚には、常に大量のお茶が鎮座することに。ひとりでは絶対に飲みきれない種類と量です。ほとんどがいただきもので、ガブガブ飲むものではないので、たまりにたまっております。

イラスト:サヲリブラウン
イラスト:サヲリブラウン

 私がお茶を嗜むシチュエーションは、純粋な水分補給を除けばホッとしたいとき。選択肢が多いのは喜ばしいことながら、お茶の棚を見るたびに、ウッと息が詰まってしまうのも事実。

 主に女性が尊ぶ、ちょっとした手土産カルチャーも過剰在庫を生む要因のひとつ。ハンドクリームもそう。温かいコミュニケーションの証しであることには間違いないのですが、「消えもの」だったはずが、大量供給により永遠に消えない代物になってしまう。

 小売りに紐づいた文化の発展が選択肢を増やし、経済を回し、新たな経験を生み、結果的に余剰在庫を生む。資本主義が避けて通れない帰結ですが、大量生産大量廃棄で経済を回すシステムは、どうにかして終わりにしないと。いったいどこから手を付ければいいのか、皆目見当もつきませんが、未来への課題です。

○じぇーん・すー◆1973年、東京生まれ。日本人。作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニスト。著書多数。『揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ』(朝日文庫)が発売中。

AERA 2022年10月10-17日合併号

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