「郡制が廃止された後も、地理上の名称や、府県議会議員選の選挙区割りの必要性などから、しばらくはそのまま存在感を保ちましたが、戦後になると、市町村の合併が大規模に進められた『昭和の大合併』や、高度成長に伴う都市化の進展、さらには『平成の大合併』 を経て町や村の数は減り、おのずと郡の数や位置づけも下がっていきました」
町や村が合併したり、近くの自治体に編入されたりして市になると、 もともと属していた郡からは除かれる。町や村が少なくなれば、それだけ郡も小さくなる。約40年前の1982年末に2604、20年前の2002年末に合計2548あった全国の町や村は、今では932に減った。
北海道を除く全国の郡や、町村の数の推移を示したのが冒頭のグラフだ。 町村の減少とともに、郡の数も減っているのが分かる(ちなみに市 は82年末で651、02年末に675あった。今は792に増えている)。
北海道を含め、全国にはすでに、一つの郡のもとに町や村が一つしかないところも150前後ある。 郡全体の4割程度を占める。例えば新潟県は、 九つある県内の郡のうち、八つがそうだ。こういった郡は今後、町や村の動きしだいでなくなってしまう恐れが高い状況にあるとも言える。
とはいえ、郡は、これまでにも大きな社会や経済の変化に見舞われながら、しぶとく生き残ってきた。郡の新設や廃止、名称や区域の変更は、前述した地方自治法第259条で都道府県知事が議会の議決を経て決めると定められている。つまり、郡をこれから生かすのも殺すのも地域の意向しだい。 郡がこれからどうなっていくのか、見守りたい。(おことわり 記事の配信後に「市」の数のデータを修正しました)
(本誌・池田正史)
※週刊朝日 オンライン限定記事